<調律と矯正>
私の考える理想的な発音矯正には、2つの重要なポイントがあります。
- 英語音声学の中の調音音声学をベースにした理論を理解、習得する為の
「脳」のトレーニング。
- 調音器官(舌や唇、下顎)などの筋肉を英語仕様に変えていく為の
「筋肉」トレーニング。
つまり、理論「脳」と実践「筋肉」の両方が必要だということです。
発音の仕方を教えると瞬時に正確な音に変われるので、まるで矯正が終了したかのように思いがちですがそれは違います。なぜならば、矯正された音を使用して表現するのに必要な調音器官である舌や唇などの筋肉がまだ覚えていないからです。私たちの舌や唇は「楽器」にたとえることが出来ます。
脳で理論や楽譜を覚え、楽器を使ってそれを表現(演奏)する、この課程が発音矯正の課程と非常によく似ています。そして表現(演奏)する前に必ずしなければならないのが「楽器の調律」です。その調律が発音矯正で言うところの「筋トレ」にあたるのです。どんなに素晴らしい演奏家でも調律の不完全な楽器を使用して観客に感動を与えることは出来ません。同じく発音の矯正も筋肉のトレーニングをして正確な音声で会話をしなければコミュニケーションは取れません。そして演奏家も私たちも無意識に正確な音が出せるようになるということがゴールなのです。

音楽は「演奏家の技量と完璧に調律された楽器」によって観客を魅了する感動的な演奏を完成することができます。
そして会話も「話者の教養と正確に矯正された発音」によってより深く、より正確に自分の意思や感情を相手に伝えることが出来るのです。
発音の矯正は、理論「脳」の習得と実践「筋肉」という大変根気の要る作業を継続的に行うことによって完成いたします。

<メールと電話>
日本人の英語を分析してみると極端にバランスが悪いことに気がつきます。
それは、「読む、書く」と「聞く、話す」のバランスの悪さです。
「読む、書く」に関しては、欧米人に引けを取らないほど優秀です。
特に書くことにかけては、ネイティブも知らないような難解な単語を駆使して見事な文章を書き上げます。
では「聞く、話す」に関してはどうでしょうか。
これは日本人にとって全くの別物です。
ネイティブの話す簡単な単語も聞き取れず、自分の英語も理解してもらえず結局は筆談でかろうじてコミュニケーションをとる、こんな経験をお持ちの方がたくさんいらっしゃると思います。
この状況を象徴するのが「メール」と「電話」です。
メールのやり取りは得意で全く何の支障もなくこなせる人が、電話になると豹変します。同じ人間とは思えないくらいうろたえてしまい、聞き取ることも話すことも出来なくなるという状況に陥ります。
つまり、ネイティブからの電話と言われただけで"ビビッて"しまうのです。
それはなぜでしょうか?
「発音」に自信がないからです。
正確に言うと、単語自体の正しい発音とナチュラルスピードで話す為のテクニックがわかっていないので"ビビッて"しまうのです。
単語の発音だけ正確に直しても、日本語と英語の「話し方」の根本的な違いを習得しなければいつまでたっても安心して「電話」に出ることはできません。


<抑揚のない読み方の原因は母音と文末の単語>
日本語と英語の決定的な違いは、「母音と文末の単語の発音の仕方」です。
英語のアクセントは音節つまり簡単に言えば母音にだけつくということは学校でも習いますのでご存知だと思います。
では、この母音についているアクセントが英語のリズムやイントネーションの大きな鍵を握っているということはご存知ですか?
特に長音母音や二重母音の発音の仕方が重要なカギになっています。
もう一つ、文の最後の単語の発音の仕方も大きな鍵を握っています。
日本語ではセンテンスの一番最後の単語はたいていの場合「・・・です」とか「・・・ます」のような重要ではない単語が多く使われます。
私たちは、実生活において文末の単語を意識することは全くありません。
しかし、英語は違います。
文末の単語は必ず強形で発音され、重要なイントネーションの高低の変化は「文章の中の一番最後にある強い音節」で起こります。
日本語と英語の決定的な違いが文章を読むときに如実に現れるので、リズム感や抑揚のない均一的で平坦な読み方になるのです。これを変えなければどんなに流暢に話しても「日本語でコーティングされた英語」からは抜け出せません。
私たちは全ての発音矯正が終了した後に行う授業「リズム&リンキング」の徹底したトレーニングを通して、日本語のコーティングをはがし、英語本来の強弱のあるリズミカルな話し方に矯正していきます。
私共の生徒がよく日系人に間違われたり、日本よりアメリカでの生活が長いように思われる根拠は「英語の話し方」にあるのではないでしょうか。
<実用的な発音>
私は日頃から発音矯正をする時に心がけていることが一つあります。
それは、矯正された音やイントネーションなどのテクニックを「実用化」するということです。
どんなに正確にきれいに矯正しても発音の仕方やイントネーションのつけ方が難しいものは「実用的」ではないのです。
私の教室でも矯正のはじめは、まず舌の位置を決め、歯と歯の間はどれ位開けるとか、唇の形はこうする、などと教えて発音させます。しかし、あまり複雑な方法だと私の前では意識して時間をかけ正確に発音しますが、会社やお友達との会話ではいちいちそこまでは出来ません。つまり、正しく発音するのに時間がかかるのでは「普段は使えない」ということです。
そこで私の考えるゴールは、いつでも簡単に普段の生活でも使えるような、いわゆる「実用的な」発音矯正です。
しかし、いとも簡単にバーディーをとる石川遼君や、ヒットを量産するイチロー選手も一朝一夕にできるようになったわけではありません。
他人からみて簡単そうに見える結果を出すためには、かなりの練習と努力が必要だと言えます。
ただ、私たちはプロのなるわけではないので、筋トレをするにしても楽しくなくては続きません。そこで当校では、ガムを使ったガムトレや、生徒お気に入りの院長得意の裏技を駆使したわかりやすい方法でネイティブの発音が出来るように指導しております。